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 24時間戦う男  “吉佐美くん” をご存知ですか?
 
   交通警察官人形「通称:吉佐美(きさみ)くん」とは
    太平洋を望む、伊豆半島南端の町下田市。この町を通る主要道路国道136号沿いに、半世紀の長きにわたって立ち続けている、1体の交通警察官人形がある。
 時は昭和39年、折しも東京オリンピックに日本中が熱狂し、高度経済成長に沸き、急速なモータリゼーション化が進み、交通事故も増加の一途を辿っていた時代、すでに彼はそこに立っていた。優しい眼差しで登下校する子供達の安全を守り、悪質なドライバーには鋭い視線で威嚇し、
『交通安全の最後の砦』として、彼は戦い続けた。
 いつ、誰が、どの様な願いを込めてこの場所に吉佐美くんを設置したのか、当時を知る者は既に他界しており、永遠の謎である。
       吉佐美くんプロフィール 
身長 175センチメートル
体重 不明
材質 コンクリート
推定年齢 50歳以上
長所 意思(石)が堅い、義理固い
短所 頭が硬い
 
 
 
   修復前の吉佐美くん  
   
 吉佐美くん修復への歩み
 設置から半世紀が過ぎ、吉佐美くんの周囲は雑草と蔓草に覆われ、吉佐美くん自身もまた朽ち、疲れ果てていた。地元の人々の記憶からも吉佐美くんは忘れ去られていた。
 そんなある日、朽ち果てた吉佐美くんの姿が、パトカーで警ら中の一人の警察官の目に留まった。長年の風雪に耐え、色あせた今でもなお、道路を見つめ続ける吉佐美くんの眼孔に宿る正義の光に、彼は胸を打たれた。帰署後、直ちに彼は地域課長に吉佐美くんの現状と修復の必要性について直訴した。吉佐美くんの修復に賭ける彼の熱意に心を打たれた地域課長は、自ら先頭に立ち吉佐美くん修復プロジェクトチームを結成、ここに吉佐美くん復活への第一歩を歩み出した。
 プロジェクトチームのメンバーは全て地域課員。皆、吉佐美くんの話を聞き、自ら立ち上がってくれた男達であった。
 
 吉佐美くん、いざ修復へ
 
 平成24年12月17日、寒さ厳しい曇り空の下で、吉佐美くん修復プロジェクトが開始された。まず、チーム全員で周辺の雑草を抜き、荒れた周囲の土地を整地した。
 絡みついていた蔦草を払い除け、久々にその全身を顕にした吉佐美くんの痛み具合は、メンバー全員の想像を遥かに超えて悲惨であった。しかし、痛みに耐えてなお、正義の為に立ち続けてきた吉佐美くんの強さに、メンバー達の吉佐美くん修復にかける情熱は、更に熱く燃えた。
 修復作業二日目、吉佐美くん本体の修復に取り掛かった。まず、本体表面の汚れや、古くなった塗装をブラシで丁寧に落とし、穴やひび割れた箇所には充填剤を注入した。そして、塗装の下地となる白色ペンキを塗り、翌日の本塗装に備えた。
 修復作業三日目、いよいよ塗装は本番。吉佐美くん復活の最終段階。制服・ヘルメット・長靴・腕章・顔、それぞれの色を塗り、最後に吉佐美くんの命となる瞳を書き入れ、修復は完了した。
 
 
 そして、吉佐美くんは甦った!
 
 
 
 before   after
     
     
     
 おわりに・・・
 
 今年も署員による吉佐美くんのメンテナンスが行われ、夜間反射材を多数使用する等、夜間視認性も向上した。
 設置から半世紀を越えてなお、吉佐美くんは輝き続けている。これからも地元の子供達に愛され、
『交通安全の最後の砦』として戦い続けて行くことだろう。